大阪発。ISO9001審査員補のよもやま話

イチ真面目なサラリーマンの人生ひと区切り(^_-)-☆

品質マネジメントシステム事務局での戦い– プロセスアプローチの本質と運営

ISO9001では以前から『プロセスアプローチ』という概念が存在していました。
プロセスアプローチの概要) 2015年度版でも引き続き主要概念として取り上げられていますが、ISO9001の枠組みでは注目度が高いとは言えません。しかし私が所属した組織で取得した自動車向けの品質マネジメントシステムTS16949の中では特に重要な監査項目として位置づけられることでようやくその概念が従業員にも理解され、運用されるに至りました。これは大変合理的に組織の業務の役割、効率を図式化でき、業務を考え直す機会になります。特にTS16949では組織でこれを図式化したものを「タートルモデル」という文書として持つことが推奨され、審査を受審する組織はどちらかというと好意的にこれを取り入れて審査の対応を行ってくれたことを記憶しています。
タートルモデルの紹介と構成要素) それぞれの要素をカメの体の部位に対応させて整理します。カメをモデルにしていることではなく、必要な図式化をした結果として、この展開をカメの胴体に例えるのが理解されやすいと判断されたものと思われます。
1. 「頭」 インプット:このプロセスに必要なリソースや情報。例:原材料、設計仕様、顧客からの要求。                                
2. 「尻尾」 アウトプット:プロセスの結果として得られる成果物。例:製品、サービス、報告書。
3. 「右手」 物的資源:プロセスを実行するために必要な設備、ツール、ソフトウェアなど
4. 「左手」 方法: プロセスを実行する手順、標準作業、規格、マニュアルなど
5. 「右脚」 人的資源:業務を遂行できるスキルを持つことが担保された人材、あるいはその業務の責任者。
6. 「左脚」 KPI指標:この業務プロセスが効率的に運営されているかどうかの組織としての管理項目
7. 胴体 プロセスの業務手順を示す
タートルモデルの作成例) 例えば製造業での組織単位として、製造、技術、開発、生産技術、購買、品質保証/品質管理、総務、経理、営業、等の分掌が想定され、このような単位でこのタートルモデルは策定されます。これ以上大きな単位でくくる場合は、直接部門、間接部門、のような見方もあり、直接部門としては製造、技術、設計、購買、品質保証/品質管理、営業、間接部門として生産技術、総務、経理、等が挙げられます。そのうえで、このタートルモデルはある部門のアウトプットは次の部門のインプット情報になるということでこの部門間をつなぐ役割をするという点で優れています。例えば、購買部門のアウトプットは製造部門に提供する品質仕様に適合した原材料資材になり、これは製造部門にとってはインプットになります。あるいは、あるいは開発部門においてはその業務効率指標は製造製品全体における新商品の比率などが管理指標になり得ます。これは業務全体を俯瞰し、整理する上では極めて優秀な手順であることは間違いないと思います。特に部門の責任者にとっては、部署の業務を整理する良い機会となり、無駄な仕事、本来期待されているが手が届いていない業務、あるいは必要な人材の枯渇、などが浮き彫りになります。KPI指標を見て業務の好不調も測ることもできる。なんてすばらしいツールなのでしょうか・・・ 部門長を含めてこの図を見ながら真面目に仕事に向き合えば、仕事の無駄がそぎ落とされ、必要なアウトプットが必要な質で必要なタイミングで届けられるということにとことん近づいていけるはずです。
実運用での課題) この優れたツールも、私が事務局として関与した期間中、日常的に活用されることはありませんでした。品質マネジメントシステムでは、受審のためのツールとしての位置づけを超えなかったのです。特に大きい組織においては、担当している業務も多くの内容に分解され、とてもこのタートルモデル1枚に示しきれるものではないことが多いです。実際に有効なツールに落とし込むにはいくつもの子供のプロセスを設定し、その中でまたタートルモデル化して業務を俯瞰していく必要が出てきます。しかし審査を受審するには親のタートルモデルがあれば何とか審査は切り抜けることができ、決して組織は自発的に子のタートルモデルを作ってまで運営、活用しようとはしません。事務局としてはこの策定と運営に多くの支援のリソースを割きながらも審査で取り出される以上に陽の目を見ることはなかったのです。
次回に続くまとめ)タートルモデルを活用するのは組織の責任者だけで、実際の業務を運営する担当者にこのモデルの意識が希薄で行われている内容が整合していないこと、あるいは部門責任者も、次のプロセスに対するアウトプットについて、本来期待される内容ではなく、審査で指摘を受けないように、自分の都合の良いように書き換えてしまい現在の業務があたかもルールに適合しているかのように見える化をしていまい、指摘されないようにする、など、決して事業所全体を考えた動きをしてくれない、そしてそれを監視すべき立場である経営者は、日常的にはこの課題に気づくことができない、・・というようにこの話はまだまだ続きます。次回は、タートルモデルをより深く掘り下げ、実際に組織でどのように活用できるのかについて考えてみたいと思います!

品質マネジメントシステム事務局での戦い– (続)ISO9001運営の課題と工夫

ISO9001の定める内部監査は、組織において経営者の方針をいかに組織に効率的に伝え、継続的なシステム改善を起こしていくかの根本になる枠組みの一つであると理解している。しかしマネジメントシステムの内部監査の記録を残すこと自体が認証維持のための経営者の手順の一つになってしまうと、素晴らしいプログラムがほぼ形式に堕してしまうことを身をもって体験したということを、先回書いてしまった。ISOという国際機関が識者によって制定したプログラムに対し、一介の審査員登録者がこのような目線で書いていること自体には申し訳なさと戸惑いを覚える。更に言うと、このような経営者の考え方自体が間違っていると断ずることはできない。現にマネジメントシステムの認証は最小限の労力で維持しつつうまく継続し、自身や経営層の手腕で企業を引っ張っていっている経営者は世の中には多く居られる。ということも踏まえ、私がここで書いていることは単なる独り言の位置づけを超える意図はなく意識の整理的なものであることを申し添えたい。

ところで先回は内部監査について書いたのだが、今回からはもう少し広く品質マネジメントシステム全体の建付けと運営の日常について触れてみる。トピックスになる点をランダムに挙げてみると・・
プロセスアプローチ、リスクと機会への取組み、教育訓練と従業員力量管理、目標設定と結果管理、是正処置、継続的改善、コアツールの活用(IATF16949) などへ規格の意図するところは様々に散りばめられており、これらを従業員の皆さんにいかに理解し運営してもらうか、様々に取り組んできた。自分なりに要約すると、経営者の方針は的確な最新分析に基づいて策定され、従業員がこれを組織の目標設定に取り込み、組織での日々改善、あるいは組織間の有機的な連携で運営し、失敗したらいかにそれを再発させないかに必死に取り組んでシステムを従業員の手で更に改善していくことができれば、否が応でも経営は適切な発展、成長を遂げるはず、、というようなことかな。 ちょっと中途半端だけど今回はここでいったん休止して、次回また続けたい。

品質マネジメントシステム事務局での戦い– ISO9001内部監査チーム運営の工夫

前回書いたように、ISO9001規格に書かれている内部監査の思想は筋が通ってるけど、現場の運営では建前で動いてる感が否めない。結局、経営を良くするような本質的な指摘やレポートは生まれず、指摘が出てきたとしても深みのないそもそも結論ありきの内容であったり、あるいは監査員の資質が疑われるようなレポートには事務局が書類の帳尻合わせ、と結局は審査対応のための作業に追われるだけっていう状況だった。当時の自分は、なんとかこの状況から脱却したくて、いろいろ試してみた。

内部監査を少しでも「使えるもの」にする工夫として、具体的にはこんなことをやってみた。

監査シートを改造
規格を理解しやすいように、監査シートに具体的な質問例を山ほど書き込んでおいた。これで、「何を見ればいいかわからない」っていう言い訳はできないようにしたつもり。

事前調査を徹底
監査前に監査員自身が対象部署から課題をヒアリングして、できるだけ情報を仕入れておく仕組みにした。準備ができていれば、議論が深まって監査が形式だけで終わることも少なくなるだろうと思ってね。

社内向けの講習を企画
社外講習だけじゃなく、事務局オリジナルのカスタマイズ講習を開催して、監査員に「うちの組織ならでは」のポイントをしっかり教える場を作った。

経営者を巻き込む工夫
監査結果を報告する時に、できるだけ経営課題に直結するような内容を伝えた。経営者の「他人事」感を少しでも減らしたかったんだよね。

文書で仕組みを固める
品質マニュアルや関連規程を、可能な範囲で具体的な運用に即した内容にブラッシュアップした。ISOの規格文章はその汎用性を維持するために必然的に抽象的な表現に留まっているので、普通に読んでも「で、どうするの?」って感じであることは仕方ない。なので、組織向けにわかりやすく噛み砕いた形にした。

それで結果はどうだった?
このような心がけでISO9001からTS16949(今のIATF16949)まで、少なくとも5年間は運営してみた。もちろん事務局としては規格理解は深まったし、「内部監査がちゃんと機能すれば組織は良くなる」って信念は変わらなかった。しかし、現実は厳しい。

結局内部監査は形式的な活動から抜け出せなかったし、記録さえ整ってれば第三者審査にも通るから、認証維持には問題なし。それで何が改善されたかって言うと、ほとんど何も変わらなかった。結局、指摘事項の改善も事務局が全部考えて提案して…って、何してんだろうなって感じ。

世の中の課題なのか? ここまでやっても変わらないっていうのは、自分が所属してた組織だけの話じゃない気がする。この問題、ISO9001を認証で取り入れている組織であればどこにでもあるんじゃないかという気もしてきた。

この辺りで今回は一旦止める。次回は、内部監査だけじゃなく、品質マネジメントシステム全体の運営について、自分なりの考察を展開してみようと思う。じゃ、また次回。

品質マネジメントシステム事務局での戦い– ISO9001内部監査チーム運営の現実

本編も最初の佳境に入ってきたようだ。
内部監査というのはマネジメントシステム、これは品質マネジメントに限らず環境や情報セキュリティーなど様々なISO規格でのシステム運営の根本を成す思想である。まず、組織というのは経営者が常に船主としてその船を動かすのに組織運営を監視、改善を達成していかなければならない。それでこそ顧客満足が達成でき組織が繫栄するというロジックである。
この監視というのは第二者監査、つまり、顧客からのもの、そして第三者監査、つまり審査機関からの定期監査(受からなければ認証の継続ができないというもの)、が挙げられる。しかしその前に一番大事なものは、第一者監査、つまり経営者自身が直接監査し改善を進めることが大前提、というものであり、これを経営者が直轄するメンバーで構成される内部監査チームによって行う、というものである。マネジメントシステムを知っている人にとっては耳にタコ、の話なので基本説明はこのあたりで止める。

この内部監査チームメンバーの選任と運営は事務局にとってキモとなる大仕事なのであるが、・・・
しかしここから実際の運営という面のいやらしさが頭をもたげてくるのである。内部監査チーム、と言っても、余裕のある企業でないと専任のメンバーなんて設置することはできない。というか私は大企業にいたのであるが、どこの事業部に行ってもほとんどこの専任チームにはお目にかかったことがない。つまり、監査チームのメンバーは日常的には自分のメインの仕事を持っている人が社内副業的に追加で行うことが前提になってしまうのである。

お察しいただけるだろうか。つまり通常は自分の仕事でとても忙しくしている人に、追加で監査の仕事を、ほとんどの場合は何の追加インセンティブもなく要請しやってもらわないといけないのである。しかもそのためには監査員にマネジメントシステムの基本的な解釈と、それを内部の組織に指導するというスキルを備えてもらうという建前(あえて“建前”と言う)が前提となる。経営者は内部監査の運営で組織を継続的に指導、改善していなければならない。この前提でそれが本当にできるのだろうか。端的に言う。私の長い経験で言えば、これはほぼ絵空事である。

なぜか。経営者が品質マネジメントシステム認証がを企業のステイタスの証明ということ以上に積極的に運用するという意識になれないし、意識したとしてもこれを合理的な手段とは考えないのである。内部監査チームを頑張って任命し立ち上げても、経営者がこのような姿勢でいる限りは、事務局だけがいくら啓蒙鼓舞したところで見透かされ、よほど意識の高い意欲的な人でない限りは内部監査は形式になってしまい、その実施と記録だけが目的化してしまうのである。
今でこそこのようなことが言えるのだが、私の突出した学習欲という特異なキャラクターも相まってか、当時は私自身が品質マネジメントシステムを金科玉条のように考え、規格を理解さえすればどんな社員でも良さを理解し、積極的に内部監査に加担してくれるはずだ、という信条のもとに突き進んだ。内部監査員候補の対象者には社外でのセミナー受講のみならず、事務局でも説明資料を渾身の思いで作成し講習を開催、その啓蒙を行っていった。
しかし何と、監査員候補の人も露骨にいやな顔をする人はいないのである。みんな、サラリーマンであり、認証が取得できないと事業が立ちいかなくなり自分の給料に影響することを知っている。しかし実際に内部監査員が監査を行って事務局に提出されたリポートを見ると愕然とする。指摘事項を“無し”とするレポートが大半で、ごく一部に指摘の記録があっても、本質的でない、書類への押印漏れなどであった。どう考えても指摘がない、つまり組織運営は完璧である、というようなことはあり得ないのに、そのようなレポートが出てくるということは目的意識のある健全な監査が行われていないという証である。

何かがおかしい。まだまだ監査員は目的を理解していないのか。事務局の啓蒙が不足しているのか。しかし時間をかけて行った監査の記録は実績として扱わざるを得ず、これをマネジメントレビューを通じて経営者に報告するというのが事務局の役割であり、限られた時間の中での運営である。このマネジメントレビューも記録を残すことが必須なのであり、経営者も理解している。内部監査の結果を報告しても、内部監査の記録が規格要求に対して適切な体を成しているのか、が最大の関心事であり、本当に組織の課題が改善されて方向で運営されているかにはあまり気に留めない。もちろん、優秀な社員が経営者になっているわけで、あきらかに形式だとはとらえておらず、気にはしてくれるが、そこで終わってしまうのが実情であった。でも当時の多私は、経営者にもまだ事務局からの啓蒙努力が足りないとしかいう結論しか導くことができなかった。
このような視点で事務局を運営していると、何をそんなに頑張っているの?という目線で見られ、フラストレーションは日増しに溜まり、周囲につらく当たるようになってきたため、良好であった人間関係にも支障が出てきた。

まだまだ書き続けそうだが、また長くなってきたので、更にこの続きは次回とするね。次回は、このような内部監査の課題に対して、実務上で工夫した点や改善策について掘り下げていきたいと思います。

品質マネジメントシステム事務局での戦い– ISO9001の実際と教訓

ここまで書いてようやく、このブログのタイトルが、「ISO9001認証。品質マネジメントに関するよもやま話 事務局の頑張り、評価されていますか」という設定になっていることへの意味について触れることになってきた。
前の回で書いたように、自分は日々疲労を感じつつも意欲を持って、モチベーション高く、事業所で運営する品質マニュアルの作成や、付随して発生する規程やマニュアル類の作成を様々な部門と連携して監修し、事務局の活動を行ってきた。特にISO9001は経営者が事業の発展を進めるための組織運営マニュアルであるという理解に基づき、いかに経営者が喜んでこれを使い、また組織の従業員もこれに連携して動くことで実際に経営成果が上がり、大きなムーブメントとしてこの仕組みの自発的な運用が巻き起こり、経営の質がスパイラルアップしていくことを自らの理想として描きつつ、事務局運営を行ってきた。少なくとも自分はISO9001の条項を理解すればするほど、内容が大変よく整理され、抜けもれなく、重複なく、素晴らしい出来になっていることに大いに感銘を受けてきた。経営者は自己の責任で事業の環境を分析し、最新の知恵をもって適切にリソースを割り当てて社会的なステイタスの高い事業の方向性を定め、従業員に方針を理解させて動かし、更にこの仕組みを継続的に改善させていくという構成は、至極スマートに出来上がっている。世の中で発展している企業はこの構成を外していないはずだ。この本質が社長や多くの従業員に共有されれば、みんなが同じ受け止めをして、みんなが仕組みの継続的な改善に能動的に動いていくことだろうと思っていた。これ正直な話。
私が製品開発部門から品質保証部門に異動し事務局業務に着任した当時はISO9001の認証は既に取得されていて、そこにTS16949という自動車向けの要求規格の認証を追加取得するというミッションがチームのメインであった。私の置かれていた事業体は自動車をつくる最終OEM企業から見たらティア3とか4にある上流の位置づけで、同業他社はほとんどその認証を取得していない環境であった。そもそも自分の所属していた事業体の製造する製品は、グローバルで見れば生産量は別として品質ではNo1 のステイタスを得ており、このTS16949を導入することで更に業界No1の位置づけをゆるぎないものとし、輝かしく注目されるであろうことを想定する前提であった。経営者も営業チームもお客と会話する機会がある際にはTS16949の認証取得に取り組んでいるという話を喜んで表に出し、顧客との会話に使っていたものだった。自分の上司であった品質保証部門長からも事務局の貢献は輝かしいものであることを何度も聞かされた。このような組織のエネルギーを得て、喜びをもって認証の取得に向けて労を厭わない自分がいたのだ。
TS16949を取得するまでのプロセスは着手してからおよそ2年半くらいだったと思う。まずは事務局が規格要求とISO9001にはなかったコアツールというものを理解し、品質マニュアルの素案を作成、組織幹部への教育機会を設定。このあたりまではどちらかというと自チームだけでの運営であった。ここまでで約半年。そこからコアツールを技術部門に理解させ、そして関係する全部門に品質マニュアルをベースに規定や基準類を作成してもらう活動に入り一気にその活動規模が膨らんだ。そして認証を受ける事業体は少なくとも半年以上の、理想的には1年の内部監査とマネジメントレビューの記録を持つ必要があることから、組織のベテランと若手をうまく編成させた内部監査チームを任命、講習を受講してもらい、内部監査を実施・・
書けば書くほど膨大プロセスがあったことを沸々と感じる。特にこの内部監査チームを編成するあたりから、事務局の仕事は大変ながらも規格の要求を理解した人材が増えてくることで、ムーブメントの高まりを期待したものであった。やはり一番期待したのは、認証の取得後も経営者が率先してこの規格のすばらしさを従業員に伝え続け、感化された従業員や組織は発展を続ける。事務局はこれを誇らしく見守っている・・ こんな景色を勝手に想像していた。
ちょっと長くなってきたので、この続きは次回とするね。次回は、監査チームの立ち上げ後に見えてきた、実務と理想のズレについて話したいと思います。

前職でのエピソード – ストレングスファインダーの話

前に書いたストレングスファインダーについて、もう少し説明を加える。最近やったんだけど、この分析のおかげで、過去の出来事や自分が関わってきた環境や行動の結果について、改めて納得しながら俯瞰できるようになった。
これができると、タフな状況に直面してもどこか冷静に自分を見つめることができて、余計な感情のアップダウンが抑えられて、物事に落ち着いて対応できる気がしている。詳しく知りたい人は、ここからチェックしてみてほしい。 https://www.gallup.com/cliftonstrengths/ja/strengthsfinder.aspx

前に書いた通り、自分の強みトップ5は、学習欲、収集心、慎重さ、責任感、調和性。この特性があると、向上心を持って何が何でもやり遂げるし、適当なことはできなくて、やたらめったら情報を集めて、客観的で合理的な手段を理解して、緻密に納得のいく進め方をしていく。ただ、人間関係を悪化させるようなことは極力避けて、他の方法でどうにかしようとするらしい。
前に書いたが、過去は深夜に帰って早朝に出社する生活を何年も続けてたけど、病気もせずに仕事の成果はちゃんと出してたんだよね。スキルもぐんと伸びたし。その時はこのストレングスファインダー分析とかしてなかったけど、ストレスに負けなかったのは若さのおかげかな。今となってはもう同じ生活は無理だろうけど、今の職場でも結局バリバリ働いてる。リモートワークが多いから体力はキープできてるけど、タスクの処理能力は上がってるし、まるで両腕と口で支える3本の刀で次々と”収集心”で集めた情報をもとに”慎重さ”をもって、また周囲との”調和性”を損なわず”責任感”をもってタスクをさばいて刺身を作るみたいな感じで毎日過ごしてる。曲芸みたいだねってよく言われるけど、それが楽しいんだよね。うん、自分でもちょっと変わってると思う。

さて、品質マネジメントの話に戻ろう。バリバリ働いて、内部監査やマニュアル作りをしているうちに、品質マネジメントの規格がだんだんと分かってきた。規格の文章って最初は無味乾燥で面白くないんだけど、関われば関わるほど、そこに経営者が考えるべきことがしっかりと詰まってるのがわかってくる。組織がこの仕組みで回るようになれば、経営者は安心して経営に集中できるし、従業員や会社全体を効率よく動かしていけるんだと思う。
でも現実はというと、俺が仕えた経営者の多くは、品質マネジメントの認証を単なるお墨付きみたいにしか見てなくて、仕組みの有効活用までは考えてないんだよね。認証を取ることが目的化してしまって、結局はそれだけで満足しちゃう人が多いと思う。
結果、経営者は認証さえ取れれば、マネジメントレビューや内部監査をただの形式的なものとしてしか見なくなるし、真面目に協力しようともしない。そうなると、その態度を見た従業員たちもどんどん冷めてきて、結局は事務局だけが頑張っている羽目に陥るっていうね。なんか、ここまで話してきて、ようやくこのブログの本題に触れてきた気がするけど、今日はここでストップ。
また次回!

前職でのエピソード - 続:少し品質マネジメントの話に戻る

ULの業務で海外や社外と関わることが多くなり、刺激を感じながら仕事をしていた一方で、このブログのテーマでもある品質マネジメントシステムの立ち上げも進めていた。部下と一緒に、膨大なタスクをこなしていたわけだ。
昼間は、いろんな部門や関係者との交渉で手一杯。ようやく残業時間になってから、自分の仕事として文書作成や事務局業務に取りかかる。深夜には、妻が作ってくれたおにぎりを食べながら作業を続ける。夜も遅くなると、アメリカ西海岸は朝になるから、ULから次々にメールが入ってくる…。そんな状況の中、急いで帰宅して、夜中に食事をとって少し寝て、また早朝から出社。品質マネジメントのミーティングを開催したり、関係部門からの無理な要求に対応したり、顧客からのクレーム対策会議に出たり、疲れた頭でUL試験のデータを確認したり・・ こんな毎日だった。要するに、切り替えがまったくない状態。

普通なら「こんな状況、どうにかしないと」と思うところだけど、どこかでこの過酷な状況を楽しんでいる自分がいた。部下2人も何とかついてきてくれてたが、上司は完全に放置。今でいう「ブラック」の極みだ。自己犠牲も甚だしい。家では第二子が生まれ、妻が育児に追われていた。普通なら家庭が崩壊してもおかしくないところだが、それでも自分は、これをモチベーションにして、寛大な妻の支えもあって、何年も乗り切っていた。

そして20年以上経った今、振り返ってみると…あの時期は、意外と良かったんだなと思う。規格の解釈や対人スキル、苦情処理の技術が、自然と身について、今では完全に自分の一部になっている。最近、「ストレングスファインダー」をやってみた。自分の強みは、学習欲、収集心、慎重さ、責任感、調和性。逆に、社交性や活発性、戦略思考が弱点だった。これを見て、僕がどんな人間か少し想像してもらえるだろうか(笑)。でも、この性格があったからこそ、あの過酷な時期を乗り越えられたんじゃないかとも思う。
その時期が本当に「良かった」のかどうかは、主観が入るから断言はできないけど…。

とにかく、学習欲や収集心が強いことは、規格の解釈だけでなく、対人関係もシステマティックに理解しようとしていた結果だと思う。実際の経験に加えて、本から得た知識も積極的に取り入れ、それを実践に活かすことができたのだと感じている。

話がまとまらなくなってきたので、今回はここまでにしておく!