製品安全認証の業務に携わることで、私は米国をはじめとする海外の多くの人々とのやり取りを経験することになりました。これにより、これまでに全くなかった視点や考え方の違いが浮き彫りになり、良い面では自分の業務上の成長や幅を広げることにつながりました。しかし一方で、これらが業務上の克服しがたい課題となることも多くありました。

まず、当時は英語が流暢な先輩がいて(ここではMr.Aとしましょう)、基本的にはMr.Aを通じてコミュニケーションを行うことになっていました。ちなみに、Mr.Aは技術的な内容を全く理解していませんでした。私は最初、Mr.Aに技術的な背景や、その認証がビジネス上必要である理由を一生懸命説明し、申請や試験データの提出など、ULに所属する米国人とのコミュニケーションを図りました。
しかし、一つ一つのやり取りで想定外の反応が返ってきました。また、Mr.Aを通じてやり取りするため、話が曲解されて伝わり、余計なミスコミュニケーションが発生し、時間がかかるばかりか、意図しない結果や結論が返ってくることが多々ありました。
例えば、以下のようなことがありました。
• 申請手順において、ルール化されていない手続きを過剰に追加され、そのための調査や社内調整、文書作成が膨大に増えました。例えば、新商品の成分配合を申請する際、ルール上は個々の成分の仕様を提出すればよいのですが、担当エンジニアからはその成分を製造するメーカーの製造プロセスの管理条件にまで立ち入って追及されました。
• 試験機の校正をULの定める規格書通りに行っても、安定したデータが得られず、取得されたデータの基準が揺らいでしまいました。例えば、試験サンプルを加熱処理する熱オーブンの換気率という管理項目を一定条件下で設定するために、槽内の温度と消費される電力量を測定し、それを基に設定を行うのですが、オーブンに取り入れる外気の温度によって状態が大きく変わってしまうことが基準で十分に考慮されていないのです。
• 同じ質問に対して、責任者や担当者によって返答が変わることがあり、組織としての一貫した回答が感じられませんでした。
これらの問題は、当社側の負担をいたずらに増やす結果となり、当然のことながら受け入れられるものではありませんでした。そのため、都度交渉を試みましたが、大事な場面で担当者がバケーションに入ってしまい、回答が一か月後になるなど、当社の意向に沿わない状況が常態化していきました。
私はMr.Aに相談しましたが、彼は妙に米国人に歩み寄った思想を持っており、ひたすら相手をかばうばかりで、当社としてのスタンスがうまく伝わっていないのではないかという懸念が常につきまといました。
社内では、新商品の開発部門が認証の取得時期について営業部門から突き上げを受け、そのプレッシャーが我々の品質保証部門にまで到達します。私はULとの交渉の様子を説明しますが、社内の人間がこれらの課題を理解できず、品質保証部門が遅れているために計画通りに進んでいないという誤解を招くこともありました。
製品安全認証の仕事を意気揚々と始めたものの、こんな状況ですぐに思い悩む日々がやってきました。果たして、このような構造をどうすれば打開できるのでしょうか。そもそも、QMSの仕事も日々山積みです。上司にも相談しますが、明快な解決策は得られません。しかも、人数が少ないチームでどう進めていくのか。
困り果てたこの状況をどのように打破したのか、その答えは次回の記事でお伝えします。それでは、またお会いしましょう。
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富士山技術事務所 https://fujisan-ec.com